ヘアメイクアーティストに必要な作品制作の方法と使用した化粧品の説明!
ヘアメイク作品 撮影
河野作品how-toビデオの紹介
Art Direction:Koji Kawano:Seiji Sakamoto
Hair&Makeup:Koji Kawano
Photographer:Seiji Sakamoto
Styling:Koji Kawano
Model:Jennifer

作品のテーマ・ディレクション
メイク
1960年代のメイクを利用します。
1960年代について
1965年にファッションデザイナーのクレージュの発表した宇宙服をテーマにした作品から大きな変化が起きます。
1950年代はオードリヘップバーン(ローマの休日)で見られるエレガントなものでしたが1965年以降にまったく違うファッションが現れました。
現在までのファッションの歴史の中で一番大きなものでした。ツイーギーがファッションアイドルとして扱われました。ミニスカートも初めて生まれました。
1960年代のメイクはバンプメイク(バンパイヤメイク)と呼ばれるメイクです。怖い、びっくりする、獣を表したノーマルではない大変インパクトのあるメイクです。
ヘアスタイル
今回のヘアスタイルは1920年代で流行したヘアスタイルです。
1920年代は1960年代と共通点があります。1920年代のメイクもバンプメイクと呼ばれています。
今回のヘアスタイルはウエーブです。ウエーブにもふくらみのあるものと、ないものがあります。
今回は指で作る“フィンガーウエーブ”と呼ばれるふくらみのないものです。ファッションとしてはギャルソンヌスタイル(少年のような)スタイルとして表現されます。


このスタイルはこの写真のようなスタイルを作る技術が必要です。
美容学校では国家試験のために勉強します。
総合
メイクは少し前まで流行したデカ目メイクの原型です。


作品制作・メイク開始

before
メイク開始

クリームシャドウ
マッサージ、ファンデーション、ハイライト、コンシーラの後にアイシャドウとしてクリームシャドウを使用します。

チーク
チークにはほほ骨下のシェード部分と目下の色味を入れる部分があります。
シェード部分にはブラウン、目下の色味を入れる部分にはピンク。
両方ともクリームシャドウを使います。

ニュアンスカラー
アイシャドウにピンクのニュアンスカラーを加えます。
ニュアンスカラーとは雰囲気を出すための色でメインの色味ではありません。
今回のメイクは色味を強く出すメイクではなく目を大きく、さらに立体的(アイホールを強調する)に見せるメイクです。

ライン
目下には目を大きくするためのラインを書きます。

ワイドなアイライン
目を大きく見せるために下まつ毛より下部分に書きます。
目の内側、外側も目を囲むように大きく書きます。
このラインは舞台メイクで目を大きく見せるときにも使います。

アイホールの協調
アイホールにへこみを入れ立体的にします。
使用する色はシャドウ色のブルーを使用します。

マユ
マユはガイド部分(上側)を強調し下側をハイライトで消します。
このテクニックでマブタが広くなりさらに目が大きく見えます。

コントラストを強く
さらにアイホールを強調しコントラストを強くします。
色は先ほどのブルーの上にグレー、ブラックを使用します。

コントラストが増しました。

ハイライト
ラインの内側、眼球に近い粘膜部分までハイライトを入れます。
この部分が眼球と錯覚するので目が大きく見えます。

付けまつげ
付けまつげをつけます。
この付まつげは”求心的”なタイプで長さが均一なタイプです。(顔が寄って見える)
”遠心的”なタイプは内側が短く外側が長いタイプです。(顔が切れ長に見える)

下付まつげ
目の下にも付まつげをつけます。
このタイプは一束ずつ付けるタイプです。

リキッドアイライナー
リキッドアイライナーで付まつげの間を埋めてインパクトと強さを出します。

クリームシャドウ
目下の粘膜部分にクリームシャドウのシルバーを入れて強調します。

チーク
パウダータイプのチークを”お手もやん風”に入れます。

ニュアンスカラー
さらにニュアンスカラーを加えてメイクを完成させます。

ヘアスタイル
ヘアスタイルを作ります。

フィンガーウエーブ
フィンガーウエーブを作っていきます。

顔を包み込む
顔を包み込むようにウエーブを作ります。
すべてジェルを使用して指で作ります。

ピン
ダブルピン、シングルピンで借りとめをします。

リップ
リップを塗っていきます。
リップペンシルを使用して”花びら形”で上唇を大きく書きます。

リップ
色はピンクを使用。ピンクの色の発色をコントロールするために赤色リップやグロスも混ぜて使用します。

ラメ
さらにアイシャドウ部分、リップ、ヘアにラメを加えます。



出来上がりについて
Befor写真と比べると顔が小さくなっています。なぜでしょうか?
それは目を上下左右大きくしているからです。
それらのポイントは目下に入れるアイライン、眉のガイドを強調してアイシャドウのゾーンを広くしています。
またヘア、フィンガーウエーブの顔にかかるフロントやサイドにウエーブがはみ出て作られているからです。
このスタイルはプチヘア(小さい頭)のヘアスタイルです。
その他リップはグロスを多量使用し中心にはラメを入れて輝きを出しています。
チークのピンクの位置が中心寄りで顔を小さく見せる密度を作っています。
付まつげは求心的タイプでふつう使われないほど大きなものです。下まつ毛も同様です。
アイシャドウの色は最初にピンクやブルーを使いましたがこれらは強く見せようとしないニュアンスカラーで重要なのはアイホールの強いへこみを作ることです。
マユ骨の位置に入れたハイライトも顔を小さく見せる要素になっています。


プロの化粧品
今回使った化粧品を中心に”@kk”が使っている化粧品を紹介します。
ファンデーション
プロのメイクアップアーティストとしてメイクの中で最も重要なのはベース作り。
ベース作りとはアイメイク、マユなどのメイクをする前の土台です。土台=ファンデーション(ハイライト、コンシーラー、フェースパウダーを含む)です。
プロはたくさんの種類のファンデーションを使い分けているわけではありません。
メインに1つのファンデーションを決め予備に(モデルの肌に合わない場合がある)簡易的なファンデーションを1つ用意しています。
市場に出回っているたくさんのファンデーションの中から自分のメイクを表現しやすいファンデーションを選んでいます。
足と頭を使い情報を参考にしテストを行い決めます。
決める第一条件は厚くなくナチュラルに仕上がること。
そうなると当然リキッドファンデーションになります。
リキッドファンデーションにも種類がたくさんあります。
プロが選ぶもう一つの条件は“今のファンデーション”であることです。
ファンデーションにも流行があり現在のファンデーションはアイボリー系(黄色味がない)ではなくシアン系(黄色味でベージュ系)です。
またリキッドファンデーションでもクリームファンデーションんい近くカバー力が強いものもあります。
プロが使用するファンデーションはナチュラルなものを使用しカバーが必要な部分はコンシーラーを使います。
カバー力の強いファンデーションは避けます。
最近の傾向としてファンデーションのナチュラル化が進む一方で、特に日本ではカバー力の強いもの(特にコンパクト系)も出ています。また場合によってはリキッドファンデーションにクリームファンデーションを混ぜて使う場合もあります。


ハイライト
@kkでは資生堂のクレ・ド・ポー ボーテ タンコントロールブランを使用しています。
大変なめらかで透明感もありナチュラルメイクの場合はハイライトとして使用するのに適しています。
プロのメイクアップアーティストで使用している人は多いです。


フェイスパウダー
@kkではシャネルのプードゥル ユニヴェルセル リーブル #10 ランピッドを使用しています(ホワイト)
このフェイスパウダーは透明感が高く肌に色が残りません。通常フェイスパウダーは肌に残りファンデーションの色に影響を与えます。
その他ベージュ系のパウダーも使用しています。顔のシェード部分に使用します。
2種類のパウダーを使用することによって顔にコントラストが生まれ(顔が小さくなる)首と顔の色の段差がなくなります。


クリームカラー
@kkではメイクアップフォーエバー、シャネル、シューウエムラ等のクリームカラーを使用しています。
クリームカラー、クリームシャドウの名前で販売されていて顔や体のどの部分にも使用できます。
クリームカラーを下地に使用しアイシャドウを重ねると発色が良くなります。
アイシャドウやチークに単体で使用するとナチュラルに仕上がります。
また色によってはアイシャドウでは発色できない強い色を出す場合もあります。


アイシャドウ
今回の作品で使用したものにメイクアップフォーエバー、ディオール、シャネル、ナースがあります。
メイクアップフォーエバーのパウダーシャドウは発色が良いので使用しています。
シャネルは粒子が細かく高級感があり大変エレガントです。クオリティーは最高のものです。
ナースはアイシャドウにクリームが少し加えられたものがあり発色が良く持ちも良いです。
ディオールは昔からピンク系、イエロー系、パープル系の発色が良いものがあります。
スーパーブランドの化粧品はクオリティーが大変高いです。


筆
プロはたくさんの種類の筆を使います。筆を選ぶとき筆のコシが重要です。
コシの強さによってアイシャドウの塗る濃いさが決まります。
マユやアイラインをパウダーシャドウで書く場合筆の強いコシが必要です。
まぶたやチーク等のフラットな部分にある程度の広さに塗る場合、コシが柔らかいほうが使いやすいです。
博報堂の筆は毛質は大変良いのですがコシが弱いものもあります。注意して選んでください。
ナイロン性の筆はリップ、コンシーラー等の筆に使用します。
ナイロン性の筆はフラットに薄くきれいなグラデーションを出す場合は不向きです。


ペンシル
リップペンシル、アイライナー、カラーペンシル等ペンシル類も多彩です。
プロはリップペンシルは特にナチュラル系の色を数種類用意しています。
あまり硬すぎると使用しずらいので硬さを確認してください。
また季節や部屋の温度で硬さが変わります。程よいものを選びましょう。
アイライナーも硬いと肌を傷つけます。通常の硬さのものと柔らかく太めのタイプがあります。
太めのタイプは目を囲うような強いラインメイクの時に使用します。


リップ
@kkではたくさんのリップを用意しています。マック、シャネル、ディオールと色々です。
メーカーによって独特な色があるので注意してみてください。
リップは顔料と油で出来ています。
顔料とのバランスで見た目と付けた時は色味が大きく違いがある場合があるので必ずテストしてみましょう。


グロス
ナチュラルなリップを塗るとき事前にグリセリン等を使用します(唇が渇いているため)
グロッシーさを強く出す時グロスを使いますが@kkではマックのグロスを使用しています。
保湿の効果が強く強いグロス感を出すことができます。





